今まで、私は長い間シルクに絵を描くということを続けてきましたが、その間にいろいろな心の変化や、思いがけない発見がありました。
シルクペインティングって、きれいな色を使って、楽しいのですが、最初の頃は、月に6,7点の作品を仕上げていて、一つの作品を一回で納得できるものにはならないので、ほとんどの場合、何回かはやり直しています。
絵画やスケッチというものをあまり描いたことがなかった私は、一つの作品を仕上げるという過程で、自分にはないと思っていたものをシルクが引き出してくれたように思います。
それはたくさんありますが、主にこの3つです。
●集中力 ●即興力 ●持久力 |
集中力 |
絵を描く準備は、何を描くか決めることから始まり、それを実際に形にしていくために、何日もかけて構想を練り、下絵を作り、やっとシルクに線を入れます。
そして、色を塗っていくのですが、たいていの場合、思っているイメージ通りにはいきません。
特に、広い空や、海を塗る時、決めたイメージを頭に描きながら、集中力は半端なく必要になります。電話が鳴っても、ピンポンと誰か来ても絶対に出ません。その時はシルクから離れることができません。例えばこんな作品。
この絵の、空や海の部分を途中で止めるとまた最初から描き直しになります。シンプルな絵ほど、難しいと言えます。
自分自身は、長い時間をかけて何かを仕上げるのは苦手な方なので、染料がス―と布に流れて、自然に広がるこの技法が気に入りました。でもこんなに集中して色を塗っている自分にも驚きました。
今までそんなに何かに没頭して、集中したことあるの?という感じです。
なかなか思い通りにいかなくて、途中で止めたくなったこともありますが、毎回頑張ってお腹に力を入れてやり遂げます。とにかく最後まで完成させます。
最後まで仕上げてみると、ダメな箇所がよくわかるし、次に描いた同じ絵は、絶対に前より良いものになっています。
そして、リラックスして、自分の絵を眺めてみて、納得いかないなら何度でも描き直します。私の経験では、最初の絵から、悪くなっていくということはないです。描けば描くほどよくなっていきます。
即興力 |
シルクに描くときは、計画として、下絵と自分の描きたいイメージを準備しています。
ところが、描いていると思わぬ方向に色が流れたり、水分が足りなくて乾いてしまったり、すでに塗り終わった面にポツンとペイントが落ちたり、いろいろなハプニングが起きます。
そんな時は、あっどうしよう?と手が止まってしまうともうやめたくなったりしますが、そこで自分の計画を変更してとにかくそのハプニングをうまく乗り切る、こうすることで思ったよりいい感じになったり、全く思ってもいなかった表現になったりすることが多いです。
その時はスピードも必要ですが、自分の計画に固執して失敗だと決めつけるのではなく、予定にはなかったことをして変化に対応しながら即興で進めていくという練習になります。
そこがこのシルクペインティングの面白いところ。計画と、アクシデントと偶然性。大失敗は、次の成功のためのサイン。気づかせてくれてありがとう!という気持ちです。
何だか、人生みたいです。
持久力 |
絵を描くようになってから、気が付くと何時間も経っていたりします。
ある作業に時を忘れて没頭するということは以前の私にはなかったことです。
好きなことをやる時はすごいパワーが出るものですね。
持久力とは長く持ちこたえられる力、スタミナがあるということなら、絵を描くことで鍛えられたのかもしれないですが、私の場合、描き始めたらずっと立ちっぱなしで、座るということがありません。
なぜなら、絵のサイズにもよりますが、シルクに線を描くグッタは、無色のものを使っているので、白いシルクに白い線、は座っていては見えないのでどうしても立って上から見る必要があります。
そのため、線を描くのも色を塗るのも立ったままです。そのせいか、お腹に力が入り、スタミナが付いたのかもしれません。
一つの作品を描くときは、だいたい一日6~7時間くらいの作業をします。
その間も水を入れ替えたり、ドライヤーを使ったり、途中でシルクの枠を立てかけて眺めたりと忙しく動いています。
今ではずっと座っている方ががしんどくなってしまいました。
立ちっぱなしに慣れて、しんどくはないのですが、絵を描くのは結構体力がいるものです!
シルクペインティングで養ったこの3つのパワー、何をするにも必要なことかもしれませんね。
趣味として、自分だけの時間を楽しんだり、おしゃべりしながら楽しく作品を作っていったりと、そんな場合にはリラックスするのが目的だと思うのでまた違いますが、ある部分では集中力が必要です。
瞑想のようだと感じる人もいます。自分の性格や気付かなかった内面が出てくるという人もいます。それは本当です。
あなたも、どんな自分が見えるのか、知りたいと思いませんか?
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