今回は、私の作品の中でも少し大きめのサイズの作品(75×50cm)、″ちゅら海KE・RA・MA″の完成までを紹介したいと思います。
この作品は、スチームで色止めが必要な、染料を使って描いています。
個展開催のため沖縄に行くようになってから、魚の絵を描くのが楽しくなりました。
海の絵は、シルクペインティングの技法や特徴を十分に活かすことができます。
初めて行った沖縄で、最初に訪れたのが慶良間諸島の座間味島でした。
あの印象的な海が忘れられません。
魚たちがあの海を気持ちよく泳いでいるイメージを描いてみました。
1.まずは、題材を決め、アイデアを練って、下絵を作ります。色々資料も集めます。出来上がるまでに一番時間をかける部分です。
何枚ものラフスケッチを経て、構図など全体のバランスを考えながら魚の色や大きさ、形などから配置なども何回か練り直して最終的に下絵が完成しました。
いつも、A4かB5のトレーシングペーパーにマーカーで下絵を完成させます。
全体像を見るには小さなサイズの紙の方が見やすいです。
2.下絵ができたら、作品の大きさの紙に拡大した同じ下絵を作ります。
以前は、下の線を写すと生きた線が描けない気がしてB5の紙に描いた下絵を見ながら描いていましたが、作品の大きさと同じ下絵なら、とりあえず安心してシルクに線を入れることができます。
グッタは、糊のように粘着性があり、チューブから出しながらシルクの上に置いていく感じで描きます。
均一の線を途切れないように描けるようになるまでは、少し回数が必要ですが、そんなにむずかしいものではありません。
このグッタは無色透明のものなので、光の加減などで白い布の上では見えにくいのですが、出来上がるとシルクの白い色が白い線となります。
3.シルクの下絵が完成しました。
濃い色のテーブルや床でないと線が見えにくいです。間違って線を入れてしまった場合、グッタが乾いてしまうと消すことは不可能なので慎重に線を入れています。集中力がピークのパートです!
4.グッタが乾いたら、色を塗ることができます。すぐにでも塗りたいのですが、一日置いて、翌朝もう一度チェックします。
線を消すことはできないけど、何か足らないものを足すことはできます。線がOKなら、色を塗るのは一つづつ楽しんで、少しリラックスしつつ、全体を見ながら塗っていきます。頭の中に、色のイメージはあるのですが、塗っていく状況によってだんだん変わっていくことも多いです。
5.あと少し。何回か、壁に立てかけたりして、遠くから見てみます。
6.最後に水平線に見える島影を塗ると画面が引き締まりました。これで完成です!
水平線と空との境目などは、この無色のグッタが光の表現には効果的です。
ここまで、簡単に完成までの様子を紹介しましたが、線が出来てしまうと塗るのが待ち遠しくて、翌朝起きたらワクワクします!
この時は、同じものを描くのが2回目で、それをOKとしました。大きな作品は書き直すのが大変ですが、なんとかイメージ通りに出来上がりました。
この作品は、ギャラリーのトロピカルな旅のシリーズに掲載しています。
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