シルクに描く2つの方法とは、化学成分がベースの染料で描く方法と、水がベースのペイントで描く方法です。
線を入れるグッタも染料には同じ成分のもの、ペイントには水ベースのものを使います。
染料はスチームで色が定着します。一方、ペイントはアイロンで色止めをします。
ほとんどのプロは大きなサイズでも描きやすい、染料を使っているようです。
また、スカーフなどにするにも染料が適しているのですが、現在、国内で購入できる外国のメーカーのものはペイントになります。
各メーカーで常に新しい製品が開発され、販売されているようです。日本ではシルクペインティングに関する情報がほとんどありませんが、基本的なことは変わりません。
目次 |
●シルクについて ●シルクに染料で描くメリットは? ●シルクにペイントを使えば気軽に始めることができます。 ●まとめ |
シルクについて |
枠に張られたシルク
絵を描くのに必要なシルクは、国内で安価なものを手に入れるのは難しいです。
アメリカやヨーロッパ、その他の国々では、趣味としてもシルクペインティングが定着しているので、そのためのシルクは、手作りの材料を販売するお店や、またシルクペインティング専門のお店があってそこで安い中国製のシルクが手に入ります。
私はいつも、約45メートルのロールで買っていました。シルクの種類も豊富です。
日本の、高価なシルクでは、何回も描きなおしたり、練習したりということはなかなか出来ません。私の経験では、少し厚みのある品質の良いシルクより、少し薄手のシルクの方がスムーズに作業がやりやすいです。
シルクペインティングがもっとポピュラーになり国内でも安いシルクが買えるようになるといいですが。
シルクに染料で描くメリットは? |
染料を使って夕景の彩色中
染料を使ってシルクに絵を描く場合、シルクが乾いていない状態なら、ボカシやその他色々なテクニックを使って表現することができます。
これはペイントでも同じ条件なのですが、染料の場合スムーズに布に色が浸み込んで、ぺイントと比べると少し落ちついて作業ができます。そして乾いてからも修正は可能です。
ただ、どちらも何回も色を重ねたりしていると、透明なきれいな色がだんだんと濁った色になってくるので注意が必要です。
小さな面を塗るのはそれ程違いはないですが、特に大きな面、例えば空や海などの夕景などを描く場合に違いがわかります。
ペイントで同じことをするのは大変です。すぐに乾いていくので、水を含ませつつきれいに色を伸ばすことは染料の方がうまくできます。色が固まらないからです。
どちらにしても、シルクペインティングは、全神経を集中して墨絵や水彩画のように一回きりで多少シルクに任せる、自然の成り行きを楽しむという部分がおもしろいのです。
頭の中にイメージがあっても、本番ではどうなるかわからない、計画通りに行くことは少ないです。
シルクにペイントを使えば気軽に始めることができます。 |
シルクペインティング教室ではペイントを使います。
ペイントを使ってシルクに描く場合、常に画面を濡らしながら、ということが必要になります。
もちろん、小さな面は絵の具の水分だけで充分ですが、空や海の部分は常に濡らしながら作業をしないと、すぐに乾いてシミのようになってしまいます。
乾くまではグラデーションをつけたり、ぼかしたり、色を混ぜたり自由にできます。
もし線から色が流れてしまったら、直後なら綿棒や筆を使って水かアルコールでその部分をこすれば、目立たなくなりますが、最初はあまり気にしないで進めましょう。
修正したらその切れていた箇所を乾いてからつなげておきます。
生徒さんの作品
この作品の場合、魚たちや、ヤシの木などは塗る面が小さいので、特に水で濡らす必要はないですが、一つの面に2色くらい塗って強弱をつけたり、水でぼかしたりすると、単なる塗り絵のようにベタッと塗るよりは表情が出ますね。
海の部分は各線で区切られているので、一つのパートごとに塗り終えていきます。
あっちこっちさわってそれらのパートを途中で置いたままにしていると乾いてシミになってしまいます。
空も同じです。まず小さめの面で試してから最後に広い面を塗るのがいいと思います。
慣れてくると、この大きさの枠(直径21cm)くらいなら全部の面を同時に塗ることもできるようになります。ただし、スピードと、ある程度具体的なイメージがないと途中で迷ってしまって、筆が止まってしまうことも。
逆に、すべてを成り行きに任せるのもアリで、あなた次第です!
思い通りにいかないことの方が多いので、半分くらいシルクにお任せするのがベストです!
場合によっては、想像以上の結果になることもあります。
こんな時に、自分にとっての新しいテクニックを発見したりすることが多いです。
完成後は、裏からアイロンをかければOKです。
まとめ |
2つの描き方の違いを説明してきましたが、スカーフなどの制作には、圧倒的に染料派が多いです。
蒸し器も、何枚も入る染料用のものが販売されています。私も以前は、作品を描く量が多かったので専用蒸し器を使っていましたが、今は普通の家庭にある蒸し器で充分な状態です。
左から、ペイント(セタシルク)、水性グッタ(9色あり)です。
シルクに描く作品の完成まで
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